ボイストレーニングをやった事がない人にどんなイメージか問うと、ほぼ100%「あ~あ~あ~あ~あ~」みたいな答えが返ってきます。笑
これはスケール練習といって確かによくレッスンでやりますが、何のためにやるかわかりますか?
スケール練習の主な目的は正確な音どり(ピッチ)です。低音域から高音域へピアノに合わせて「あ」や「は」などの言葉で発声し、慣れてくると「ハレルヤ」とか「ありがとう」などの言葉を当てはめて練習します。
上手な人は簡単そうにやってますが、以外と難しいのがこのスケール練習。
まず生徒さんが苦労するのは、意外にも「口を開けること」です。現代人はSNSやメールで会話をするためか、1日のうち口を動かしている時間は昔の人と比べ少ないそうです。そうすると顎の筋肉がこわばり、意識しないと口が開かなくなってきます。かくいう私も軽度の顎関節症で口を開けるのは苦手ですが…
だからこそ普段から大きく口を開けてストレッチするよう心がけています。
次にスケール練習で障害になるのが、地声から裏声にひっくりかえるポイントです。これは「換声点」といって地声の筋肉から裏声の筋肉に交代するときに声がガクンと切り替わります。この換声点が実際に歌を歌うときにも悩みのタネになってきます。だいたいの曲のサビの盛り上がるところに換声点があるので、地声か裏声どっちで歌えばいいのかわからなくなったり、地声だと高くて苦しいし、裏声だと弱々しい…油断するとひっくり返りそうになるので、力ずくで歌い切ってやる!なんて人も多いのではないでしょうか?
スケール練習の良いところは、自分の声質や悪い癖がハッキリとわかるところです。カラオケで歌っているうちは、マイクやエコーが声の伸びを助けてくれたり、伴奏がいい感じに演出してくれるので、本当の自分の声を知らない人も多いです。スケール練習は生の声とピアノの音だけしかありませんので誤魔化しようがなく、ようやく自分の声と向き合うことが出来るのです。そして、声を綺麗にだす難しさに気づきます。
ボイストレーニングをして歌が上手くなるために必要なことは、「どれだけ気づいたか」だと思います。先生に「はい!スケールやって」と言われたからだけじゃなく、「なぜやるのか?」や「自分の苦手な部分」を知ることで、初めて改善されていくものです。みなさんの中でボイトレに通っている方、これから通おうと思っている方がいたら、ちょっと考えを切り替えて受動的ではなく能動的に受けてみると、よりボイトレの面白さがわかってくるかもしれません。
MUKUボーカル教室
向野まい(むくのまい)
2018.11.27
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